財産分与の基本
財産分与とは、婚姻中に夫婦で築いた財産を離婚時に分ける制度です。原則として2分の1ずつ分けます(2分の1ルール)。専業主婦・主夫であっても、家事・育児によって財産形成に貢献したとみなされます。
財産分与の対象になるもの
- 預貯金(婚姻後に貯めたもの)
- 不動産(婚姻後に購入したもの)
- 自動車・家具・家電
- 株式・投資信託・保険の解約返戻金
- 退職金(婚姻期間に対応する部分)
- 婚姻前から持っていた財産
- 婚姻中に相続・贈与で得た財産
- 結婚前から持っていた借金
住宅ローンが残っている場合
オーバーローン(不動産の価値よりローン残高が多い)の場合、財産分与の対象がマイナスになります。売却するか、どちらかが住み続けてローンを払い続けるかを決める必要があります。名義変更・ローンの引き継ぎには金融機関の同意が必要なため、弁護士への相談をおすすめします。
養育費の決め方
養育費は、子どもを引き取らない親(非監護親)が、子どもを育てる親(監護親)に払うお金です。子どもが成人(18歳)になるまで、または大学卒業まで払うケースが多いです。
養育費の相場
裁判所が公表している「養育費算定表」をもとに決めます。双方の収入・子どもの人数・年齢によって金額が変わります。
- 支払う側の年収300万円・受け取る側の年収0円:月2〜4万円
- 支払う側の年収500万円・受け取る側の年収0円:月4〜6万円
- 支払う側の年収700万円・受け取る側の年収0円:月6〜8万円
養育費が払われなくなったとき
離婚協議書を公正証書にしておくと、不払いの場合に裁判なしで給与・預金の差し押さえができます。公正証書にしていない場合は、家庭裁判所に「履行勧告」を申し立てるか、調停・審判で取り決めをする必要があります。
慰謝料が発生するケース
慰謝料は、離婚の原因を作った側(有責配偶者)が相手に払うお金です。すべての離婚で発生するわけではありません。
慰謝料が認められやすいケース
- 不貞行為(不倫・浮気):最も多いケース。50〜300万円程度が相場
- DV・モラハラ:証拠があれば請求可能。診断書・写真・録音が有効
- 悪意の遺棄:正当な理由なく家を出て生活費を入れない
不倫相手への慰謝料請求
不倫の場合、配偶者だけでなく不倫相手にも慰謝料請求できます。ただし二重取りはできません(配偶者と不倫相手を合わせた総額が上限)。不倫相手への請求は弁護士に依頼するのが一般的です。
年金分割
婚姻中に厚生年金・共済年金を納めた場合、離婚時に年金記録を分割できる制度です。分割した分だけ、将来受け取る年金額が変わります。
年金分割の種類
- 合意分割:双方の合意で分割割合を決める(最大50%)
- 3号分割:第3号被保険者(専業主婦・主夫など)が相手の年金記録の50%を自動的に取得できる制度(2008年4月以降の婚姻期間分)
離婚協議書・公正証書の重要性
口約束や普通の書面では、後から「言った言わない」のトラブルになることが多いです。特に養育費・財産分与・慰謝料の取り決めは公正証書にすることを強くおすすめします。
公正証書にするメリット
- 強制執行認諾条項をつけると、不払い時に裁判なしで差し押さえできる
- 公証人が内容を確認するため、無効になりにくい
- 原本が公証役場に保管されるため、紛失の心配がない
- 公証人手数料:1〜3万円程度(金額によって変わる)
- 弁護士に依頼する場合:5〜15万円程度
- 自分で作成して公証役場で認証してもらうことも可能
まとめ
- 財産分与は婚姻中に築いた財産を原則2分の1ずつ分ける(離婚から2年で時効)
- 養育費は算定表をもとに決め・公正証書にして不払い時の差し押さえに備える
- 慰謝料は「相手の非の証拠」がある場合に請求できる
- 年金分割の請求も離婚から2年以内に忘れずに
- 取り決めは必ず公正証書にする
あなたの状況に合った解決方法を、今すぐ確認できます。
- 法務省「離婚・財産分与について」→ https://www.moj.go.jp/
- 裁判所「離婚調停について」→ https://www.courts.go.jp/
- 法テラス→ https://www.houterasu.or.jp/